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環境対策コラム

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ネイチャーポジティブとは?意味やTNFDとの関係、企業の生物多様性対策を解説

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「カーボンニュートラル」に続く、環境経営の新たな世界基準として「ネイチャーポジティブ(NaturePositive:自然再興)」が注目されています。
2022年のCOP15で採択された世界目標を皮切りに、企業には気候変動対策だけでなく、生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せることが求められるようになりました。
本記事では、ネイチャーポジティブの意味や定義、なぜ今企業に取り組む必要があるのかという背景、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)との関係、そして具体的な企業のメリットから実践的なソリューションまでを解説します。

ネイチャーポジティブ(自然再興)の意味と定義

生物多様性の損失を「回復」に転じさせる

ネイチャーポジティブとは、「生物多様性の損失を食い止め、反転させ、回復軌道に乗せること」を意味します。日本語では「自然再興」と訳されます。
これまでの環境保全は「自然への悪影響を減らす(マイナスをゼロに近づける)」ことが中心でしたが、ネイチャーポジティブはそこから一歩踏み込み、「自然を回復させ、豊かにする(プラスにする)」ことを目指す、より野心的な概念です。

2030年までの具体的目標

ネイチャーポジティブは、単なるスローガンではなく、明確な期限と目標を持った国際的な約束です。一般的には、「2020年を基準として、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復に向かわせ、2050年までに自然と共生する世界を実現する」というタイムラインが設定されています。

なぜ「生物多様性」が重要なのか

生物多様性とは、生きものたちの豊かな個性とつながりのことです。私たちの経済活動は、水、食料、木材、繊維、薬品の原料など、自然が生み出す恵み(生態系サービス)に依存しています。つまり、生物多様性の損失は、生態系の崩壊だけでなく、経済活動の基盤そのものを揺るがす深刻なリスクなのです。

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なぜ今、ネイチャーポジティブが必要なのか(背景)

昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)の採択

ネイチャーポジティブが企業の必須課題となった決定的な契機は、2022年12月に開催された国連の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)です。ここで採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」では、2030年までに陸と海の30%以上を保全する「30by30」などの目標とともに、大企業や金融機関に対して、事業活動が生物多様性に与える影響を評価・開示することを求めるターゲットも盛り込まれました。

気候変動(カーボンニュートラル)との「双子の危機」

かつては「温暖化対策」と「自然保護」は別々の課題として扱われがちでしたが、現在はこれらを不可分な「双子の危機」として捉える考え方が主流です。

  1. 気候変動が進むと、生態系が破壊される。
  2. 森林や海洋などの生態系が破壊されると、CO2吸収源が減り、気候変動が加速する。

この負の連鎖を断ち切るため、カーボンニュートラル(脱炭素)とネイチャーポジティブは、車の両輪として同時に進める必要があります。

TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の始動

気候変動分野での「TCFD」に続き、自然資本版の枠組みである「TNFD」の最終提言が2023年に公表されました。これにより、投資家や金融機関は、企業に対して「自然資本にどのようなリスクと機会を持っているか」の開示を強く求めるようになっています。対応の遅れは、投資の引き上げ(ダイベストメント)や企業価値の毀損に直結する時代に突入しています。

企業がネイチャーポジティブに取り組むメリット

「環境配慮」はコストではなく、企業の持続可能性を高める投資です。ネイチャーポジティブへの取り組みは、以下のようなメリットをもたらします。

1.サプライチェーンの寸断リスク(事業リスク)の回避

原材料の多くを自然資源に依存する製造業にとって、生態系の崩壊は調達不能やコスト高騰に直結します。例えば、水不足による工場の操業停止、土壌劣化による農作物の不作、花粉を運ぶ昆虫の減少による収量低下などです。自然資本を回復させることは、自社のサプライチェーンを強靭化(レジリエンス強化)することと同義です。

2.新たなビジネス機会の創出

WEFの報告書では、ネイチャーポジティブへの移行により、2030年までに多くのビジネス機会と雇用が創出されると予測されています。持続可能な農業、水のリサイクル技術、代替タンパク質など、自然に配慮した製品・サービスは、今後大きな市場となる可能性があります。

3.資金調達力の向上(ESG投資)

TNFDの普及により、機関投資家は「自然への依存度と影響」を重要な評価基準としています。ネイチャーポジティブ経営を明確に打ち出すことで、グリーンボンドの発行やESG投資の呼び込みが有利になり、資金調達コストの低減が期待できます。

4.企業ブランドと採用力の強化

環境意識の高い若者を中心とした消費者や求職者に対し、生物多様性への取り組みは強力なアピール材料となります。「自然を搾取する企業」ではなく「自然を豊かにする企業」としてのブランドを確立することは、優秀な人材の確保と顧客ロイヤリティの向上につながります。

企業が取り組むべき具体的なステップ(LEAPアプローチ)

TNFDが提唱する「LEAPアプローチ」は、企業が自然関連のリスクと機会を評価するための標準的なプロセスです。

Locate(発見する)

自社の事業活動(直接操業およびサプライチェーン)が、自然と接点を持つ場所を特定します。特に、生物多様性の重要地域や水ストレスの高い地域に工場や調達先がないかを確認します。

Evaluate(診断する)

特定した場所において、自社が自然にどれだけ「依存」しているか(水、資源など)、そして自然にどのような「影響」を与えているか(排水、廃棄物、土地改変など)を診断します。

Assess(評価する)

診断結果に基づき、自然関連のリスク(物理的リスク、移行リスク)と機会を評価します。

物理的リスク

洪水、渇水、森林火災などによる操業停止。

移行リスク

環境規制の強化、評判の悪化、市場ニーズの変化。

Prepare(準備する)

評価結果を踏まえ、戦略を策定し、指標と目標(KPI)を設定して、具体的なアクション(回避、低減、再生、変革)を実行・報告します。

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